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特集 第22回脳のシンポジウム
神経疾患の分子生物学的アプローチ
神経疾患の分子生物学的研究戦略(抄録)
Strategy of the investigation of molecular mechanism of the disease of the nervous system.
御子柴 克彦
1
Katsuhiko MIKOSHIBA
1
1大阪大学蛋白質研究所蛋白質機能制御部門
1Division of Regulation of Macromolecular Function, Institute for Protein Research, Osaka University
pp.1030-1031
発行日 1987年12月10日
Published Date 1987/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905955
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I.はじめに
脳神経系の遺伝性疾患は現在までに多数報告されている。しかし,この2〜3年前まではそれらの発症原因の究明はおろか,治療もほど遠いものがほとんどであった。近年の分子生物学的応用がなされる以前は,主として従来の生化学的測定により代謝パターンの特異的な変化を見出して,発症条件をなんとか見出して,それに対する対症的な治療が中心であった。
しかし1970年代に遺伝子工学,細胞工学における技術開発に伴って,今まで微生物やファージを中心にしてきた分子生物学的研究が哺乳類を含むすべての生物を対象としうるようになった。これにより,ヒト遺伝子の研究は新しい局面をむかえるに至り,今まで複雑巨大すぎて手に負えなかったヒト染色体の構造と機能の解析に門戸が開かれた。これに伴い,遺伝性神経疾患の解析にもかなりメスを加えることが可能となってきた。
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