Japanese
English
特集 精神医学における分子生物学的研究
てんかんの分子生物学的研究
Molecular Genetic Study of Epilepsies
兼子 直
1
,
千葉 丈司
1
,
和田 一丸
1
Sunao KANEKO
1
,
Takeshi CHIBA
1
,
Kazumaru WADA
1
1弘前大学医学部神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Hirosaki University
キーワード:
Epilepsy
,
Linkage study
,
Candidate gene
Keyword:
Epilepsy
,
Linkage study
,
Candidate gene
pp.1155-1161
発行日 1996年11月15日
Published Date 1996/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405905017
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■はじめに
最近の分子生物学的研究の発展により,様々な疾患の原因遺伝子が同定され,てんかんの原因も分子遺伝学的に追究されている。原因遺伝子の解明は臨床症状と脳波によるこれまでの分類の再編,責任蛋白の有無の追究,てんかんの発症機序の解明,ひいては新しい治療法の開発やてんかん発症の抑制手段へとつながる可能性がある。
本稿では,現時点で報告されているてんかんの分子生物学的研究成果について,その問題点を含めて考察する。
てんかんは,大脳ニューロンの過剰発射に由来する発作を反復する慢性の大脳疾患である。その原因は器質性脳障害(胎生期・周産期障害,脳炎,脳症,頭部外傷など)に起因すると推測されるものが多い。単一遺伝子病,染色体異常症など,既知の疾患に伴う症候性てんかんもあるが,それはてんかん全体の数%以下にすぎない。既知の疾患に随伴しないてんかんへの遺伝の関与は,特発性のみならず症候性てんかんにおいても家族内有病率の高いことが明らかとなっており12),少なくともその一部には遺伝が関連することに疑いの余地はない。
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