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I.はじめに
運動ニューロンの分化と成熟,あるいは機能調節についての分子生物学的機序はまだほとんど明らかになっていない。特定の運動ニューロンが数多くの筋繊維の中から自分が支配すべき筋をどのようにして識別し,支配するに至るのか。一個の筋繊維が複数の運動ニューロンの支配を受けることはないが,それはどのような分子機構によるものか。筋肉の活動に応じて運動ニューロンの機能状態が変化すると考えられるが,そのメカニズムはどうなっているのか。さらに運動ニューロンに特異的に発生する変性疾患の発症機構はどのようなものであるのか。これらの疑問を解析するために,いきなり丸ごとの動物実験を行なっても,得られる情報は複雑すぎてその解析は不可能に近い。このことから,実験は主として脊髄ニューロンの初代培養あるいは器官培養を中心に進められてきた。
図1は,マウス胎児の脊髄ニューロンの初代培養の写真である。妊娠13または14日の胎児の脊髄を取り出し,これをコラーゲナーゼで細胞解離したのち,コラーゲンコートした培養皿に植え込む。数日もすると多くの細胞は神経突起を出し,1〜2週間では網目のような神経突起の伸長と交叉が観察される。4〜5日前から筋肉細胞(妊娠末期のマウス胎児より採取したもの)を培養し,そのうえに脊髄ニューロンを植え込むと,ニューロンは筋線維との間に機能的な神経筋接合を形成する。
The mechanism that regulates the development of choline acetyltransferase (ChAT) activity has been studied in the primary cell cultures fromspinal cord of fetal mouse. Trophic factors from skeletal muscle and glial cells stimulated the de-velopment of ChAT activity almost 10-fold. Depo-larizing agents also increased ChAT activity via the influx of Ca++ suggesting a control on moto-neuron by the upper neurons.
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