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はじめに
老年痴呆に限ったことではないが,痴呆を呈する患者の脳について多くの場合最初に気付かれる病変が大脳の肉眼的萎縮である。一つの器官もしくは組織が萎縮するとは,脳の場合についていえば,神経細胞の萎縮と脱落が生じたことを意味している。量的変化というものは,しかしながらそれが比較的軽い場合には,共存する質的変化の方がより目立つので,その隠された意義と重要性とがしばしば見過ごされてしまう。老年痴呆脳もこの例に洩れない。この場合まず第一に注目されるのは,神経細胞原線維変化と老人斑とであって,神経細胞の萎縮や脱落はよし気がつかれたとしても原線維変化や老人斑などの二次的帰結のように考えられがちである(しかしこのような考え方が決して自明なことではないことについては後に触れる)。いずれにせよ,細胞がただ何となく音もなく消えてなくなるといったことには,なかなか第一義的重要性を賦与しがたいというのが通例であろう。
しかしこのような考え方は,二通りの意味で誤っている。第1に,それは病的過程の本質を見誤る危険を冒すものであり,第2に細胞脱落が大脳皮質の機能にどのような,またどの程度の障害を結果することになるかという判断と洞察とを損うからである。では何故に神経細胞の成員数あるいはその減少があまり論じられないのかといえば,その理由は簡単であって数えるということが非常にむずかしいからに他ならない。
Abstract
Quantitative studies (nerve cell counts) on human cerebral cortex were critically reviewed, in relation to changes due to ageing and senile dementia of Alzheimer type. Studies on totalnumber of nerve cells in the whole cerebral cortex, on volumetry of autopsied brains, and its age-related decrease were also quoted, in order to assess the actual volume (atrophy) and the extent of shrinkage due to processing, which comprise essential part of tissue morphometry. Traditional manual counting methods were compared with more modern techniques using computerized image analysers.
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