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I.はじめに
大脳の中心前回と運動機能との関連についてはすでに前世紀後半より指摘されてきており,この部は運動野と呼ばれているが,G.T.FritschとE.Hitzig11)による電気刺激実験をはじめとする生理学的実験成績や変性線維染色法などを用いた解剖学的所見により,運動野の多数のニューロンは,脊髄へ直接にまたは脳幹部の神経核を経て間接的に下行して,脊髄運動細胞の活動を調節することにより運動の発現に関与することが知られている。その後数多くの実験成績の積重ねによりこの領野についての入・出力系の構成やそれらにおけるシナプス接続の様式などについては詳細な知見が得られるに至った。これらの神経組織の微細構造の知識や麻酔動物を用いた細密なニューロンレベルでの興奮と抑制の実態に関する知識は,むろん運動野の随意運動に対する関与の機序の解明に不可欠なものではあるが,しかしそれのみでは運動の具体的な諸要素(運動の際発生する力や変位の大きさ・その速度など)の発現にどのように関与しているかという疑問に答えることはできない。この素朴な疑問に答えようとして古くから多くの切除実験が行なわれてきており,運動野またはその出力線維の通過部位を切除または切断した際の動物の行動変化が詳細に記述されてきているし,またヒトのいわゆる錐体路症候群における臨床医学的観察がなされてきた。
This report reviews recent works which at-tempted to relate discharge activities of individual neurons in the motor cortex to various aspects of volitional motor acts. This line of experiments is believed to provide crucial informations con-cerning the question of how the motor cortex controls voluntary movements.
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