Japanese
English
特集 随意運動のメカニズム
随意運動の発現に関する神経回路
Neuronal circuits for initiation of voluntary movement
水野 昇
1
Noboru Mizuno
1
1京都大学医学部解剖学第一講座
1Department of Anatomy (1st Division), Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.7-25
発行日 1984年2月10日
Published Date 1984/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905569
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いわゆる「随意運動」の過程の大部分は「反射的」ないし「自動的」である。「随意運動」の神経科学的な定義はできないが,その特徴の一つは,ある運動の"場"においていくつかの反応が可能である場合,その多様な可能的反応のなかから選択された反応である点にある。このような「選択」を可能にする構造としてまず注目されるのが大脳皮質Cxである。Cxは中枢神経系のなかで系統発生上もっとも新しく,したがって後天的に組織化される可能性をもっとも多く孕んだ部分と考えられるからである。そこで「随意運動の神経回路」を「大脳皮質が組み込まれている運動系神経回路」として考えたい。
Cxニューロンのなかで骨格筋の運動ともっとも関連の深いものは錐体路ニューロンPTNである。近年,正常な無麻酔のマカクザルにおいて,PTNの発火に関連しながらしかもこれに先行するニューロン活動がCxで盛んに研究されているが67),いっぽう,いわゆる新小脳(小脳外側部)や大脳基底核BGなどのニューロンのなかにも筋活動に関連ししかも筋活動の変化が始まる前に発火頻度を変化するものが見られている21,132)。とくに小脳外側部のこのようなニューロンのなかにはPTNの発火に先行して発火するものもある80)。
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