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I.はじめに
光ランプの刺激を見たら手をキーからはなすという運動をサルに条件づけをして,運動野の遠心性ニューロン(軸索が錐体路を下降するニューロン)の活動が単一ニューロンのレベルで解析されたのは1965年のことであった(E.V.Evarts)4)。微小電極を刺入してニューロン活動を記録して行なうこの研究は,随意運動の発現メカニズムの研究の歴史では革命的なものであって新しい時代の幕明けとなった。FritschとHitzig7)が麻酔したイヌの脳表面を電気刺激して運動野を発見したこと(1870)で,随意運動のメカニズムの研究の歴史が始まったのであるが,慢性ニューロン活動を記録する技術の適用で,第二の研究の時代が始まったといえる。随意運動を行なうときに,脳のどの部位がどのように働らくかということが,単一ニユーロンで解析できる時代となったのである。第一の時代では,脳を破壊したり,刺激したりして,随意運動に関係した脳部分に操作を加えて,随意運動を変容させて起こる変化を解析して,間接的に随意運動の発現メカニズムを想定していたにすぎないのである。
第二の時代が始まって20年近くを経ようとしているが,この間に,随意運動に関係した脳領域のほとんどの場所に応用された。随意運動の発現メカニズムの解明には程遠いが,本特集号のように,脳のどこで何が起こっているかをまとめ,随意運動のメカニズムについて大まかな配線図を描けるようにはなった。
Abstract
An overview was made on recent developments on studies of initiating mechanisms of the volun-tary movement. Allen and Tsukahara's original schema on brain structures and voluntary move-ment (Physiol. Rev., 54: 957-1006, 1974) was revised and new brain areas were added to the schema.
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