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Changeuxら1)により魚類電気器官からアセチルコリン受容体蛋白(AChR)を抽出精製する技術が開発されたことを糸口として,1973年Patrick & Lindstrom2)がこの精製蛋白を抗原として家兎を免疫し,抗AChR抗体の出現とともにヒト重症筋無力症類似の動物モデル作出の成功に始まる免疫学的疾患モデルの研究は,哺乳動物骨格筋にも抗原のソースが求められ,またルイス系ラットをはじめマウス,モルモット,羊,サル,カエルなどが被免疫動物として用いられて大きな発展を遂げてきた3)。これを踏まえた諸研究の成果は,重症筋無力症を,抗AChR抗体を中心に据えた免疫学的機序(図1上),とくに抗体による受容体崩壊促進4),補体介在性終板膜破壊5,6)によって成立する受容体疾患とする考えを,実証をもって確立するに大きな貢献を果たした3)。さらに本病の病態を明らかにするためには,抗体の多様性の分析,病原性抗体の特定化が必要となり,近年,単クローン抗体開発などの新しい免疫学的技術の導入は,蛋白質化学の研究発展と相まって,この問題解決に展望をもたらすとともに7〜9),抗原決定基を異にする多様な抗AChR抗体の標的となる受容体蛋白の全貌を明らかにしてきた。
An immunological animal model has prevalently provided evidences to indicate that myasthenia gravis is a receptor disease in which anti-AChR antibody plays an important role by accelerating the receptor degradation and by causing cell lysis in collaboration with complements. Investigations on subunit constitution of the receptor protein and monoclonal antibodies have further demonstrated immunological complexity of myasthenia gravis.
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