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I.はじめに
視覚情報処理機構の最高中枢は周知のように大脳視覚領皮質であるが,この領域は霊長類において著しい分化,発達を遂げる。従来視覚中枢路の形態学的あるいは生理学的解析はネコを中心に行なわれ,膨大な知見が集積されてきた。しかしとくに視覚領皮質の構造,機能を論ずる場合,はたして食肉類と霊長類で得られた所見を同列に扱ってよいか,言葉を換えて言うなら種差をどう捉えるかという問題がいつもつきまとう。動物間の外側膝状体のlaminationの相違と,それに伴なう視覚領皮質との結合関係の違いなど,現在までに蓄積されたデータから哺乳類視覚系の共通構成を見出そうとする試みを困難にしている問題が数多く存在する。しかし幸いなことに,形態学の分野では標識法(HRP法69),オートラジオグラフ法17))の導入により,大きな種差の一つであった外側膝状体のextrastriate cortexへの直接投射がサルでも確認され9,24,26,128,131,132),上記の試みの見通しを明るいものにしているが,同時にこの発見は霊長類視覚系の構成の再検討の必要性をもたらした。
視覚系神経路を構成する要素は互いに構造的,機能的連関を持っている。したがって視覚領皮質の構成を問題にする場合,当然視床などの皮質下構造との関係が考慮されなければならない。
Morphological bases for columnar organization of the visual cortex has been described comparative anatomically in relation to retinogeniculo-cortical pathways.
The central visual system is characterized by the presence of the segregated ganglion cell pathways. Several morphological and physiological ganglion cell types have been reported in the mammalian retina. Morphologically classified α-, β- and γ-cells are considered to correspond to Y-, X- and W-cells identified physiologically on the basis of the conduction velocity of their axons, respectively.
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