Japanese
English
特集 視覚の中枢機構
視覚路:膝状体系と非膝状体系—動物種による違い
Visual pathways: geniculate and extra-geniculate-systems:(Comparative aspect)
川村 祥介
1
Syosuke Kawamura
1
1熊本大学医学部第一解剖学教室
11st Department of Anatomy, Kumamoto University Medical school
pp.703-717
発行日 1983年10月10日
Published Date 1983/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905529
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はじめに
視覚情報の皮質への経路は現在単一の経路を介しているのではなく,複数の路を介して達することは検索されたすべての哺乳動物で明らかにされている。これらを"膝状体系:非膝状体系"と分けて考えるようになったのは比較的に新しい。この概念の発祥は形態的には視覚路の第一次中枢の一つである上丘からの上行投射が見出されたことにあり,破壊実験による行動学的研究の結果を説明するには都合の良い事実であった3,7,48,55)。その後の研究の進展は当初考えられていたよりも"膝状体系,非膝状体系"ともに多様であり,単純な図式によって説明することは不可能になってきている。視覚系に限らず他の感覚系や運動系においても一つの機能単位に属する投射系が皮質に達し,あるいは皮質から下行する場合二つ以上の経路を介している場合は多く,たとえば,体性感覚路が"毛帯系と毛帯外路系"に分けられたり,運動系を"錐体路系と錐体外路系"に分けたりしたことがこれに当たる。しかしながら,視覚路における"膝状体系,非膝状体系"の分割は上記2系のように"神経路"を基準にした分割とは異なって,"中継核"を基準にした分割であり,これには常にその中継核における分化の問題を伴なうため,問題をより複雑なものとしている。
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