Japanese
English
総説
視覚路:膝状体系と非膝状体系—批判的考察
Visual pathways:geniculate and extra-geniculate system (A critical review)
川村 祥介
1
,
肥後 成美
1
,
松山 知生
1
Syosuke Kawamura
1
,
Shigeyoshi Higo
1
,
Tomoo Matsuyama
1
1熊本大学医学部第一解剖
11st Department of Anatomy, Kumamoto University Medical School
pp.1031-1048
発行日 1982年11月1日
Published Date 1982/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205021
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緒論
視覚路は脳研究の最も初期の時代から研究されている中枢経路の一つで,前世紀後半から今世紀初頭にかけて高等哺乳動物においてその概略が知られている141)。しかしながら他の科学分野においてもそうであるように,神経経路の研究においても新しい研究法が出現すると常に既成の事実は追試,確認,改変がくり返され,またときに概念そのものが大きく変貌をとげることがある。今世紀後半において中枢神経経路の解剖学的研究の手段は概略2つの方法によつて飛躍的に進展した。その一つは1950年代に出現した変性軸索鍍銀法(Nauta法およびその変法37,125))であり,他の一つは1970年代より急速に進展しつつある軸索流を線維結合の研究に適用した方法である26,103)。ことに後者による新しいデータは未だ集積,追加の途上にあり,現在これらの視覚路に関するデータのすべてを概観,総説することは不可能に近い。ここでは主に1970年代より現在に至る視覚の中枢経路の研究がもたらした概念の変革を,線維結合を中心とした形態学的データを基礎に記述したい。
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