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はじめに
脳内の病変も含めて身体に種々の機能障害が起こった時小脳にこれを代償する能力があるという考えは次のような古典的な動物実験の結果に基づいて発展してきたものである。1824年Flourensはニワトリの小脳の一部を切除すると運動失調が起こるが2週間ほどで回復すること,ただし,小脳全部を切除してしまうと運動失調は3か月経っても回復しないことを観察した。この観察は小脳の一部切除によって生じた機能障害が小脳の残存部の働らきによって代償されることを示唆しているが,1891年Lucianiの行なった次の実験はこの考えをさらに強めるものであった。すなわち,動物の小脳の一部を切除して起こった運動失調が回復したあと,再び隣接する小脳領域を切除すると,二度目の切除だけを単独に行なった時より重篤な症状が生ずる。これは最初の切除により失われた機能を隣接する小脳組織が新らたに獲得して代償していたためと考えねばならない。
運動機能の代償が小脳だけで行なわれているのでないことを示す古典的な実験もある。Lucianiは小脳切除後代償された運動障害が大脳運動野を切除すると再び現われることを観察している。
Abstract
Compensatory action of the cerebellum for disorders of motor functions has been suggested by classic works of Flourens, Luciani, and Moruzzi and his colleagues. Its neuronal mechanisms has recently been speculated on the basis of detailed knowledge of cerebellar structures, in terms of modifiable neuronal network hypotheses of Marr and Albus. These hypotheses were tested using the flocculo vestibulo-ocular system of rabbits.
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