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特集 脳のシンポジウム
主題—前庭神経・前庭神経核の組織と機能
前庭神経核における前庭神経性インパルスと小脳性インパルスの相互作用
Interaction of Vestibular and Cerebellar Impulses in Vestibular Nuclei
伊藤 正男
1
Masao Ito
1
1東京大学医学部生理学教室
1Department of Physiology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.115-116
発行日 1970年4月25日
Published Date 1970/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903110
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一次の前庭神経線維は延髄に侵入後,同側の前庭核を支配し,ついで小脳に上行してフロックルス葉,ノズルス葉を中心とする前庭小脳に分布し,苔状線維として小脳皮質内に終わる1)。前庭小脳の皮質からはプルキンエ細胞の軸索が延髄に下行し,前庭核に終つている2)。このようにして一次の前庭性インパルスは直接前庭核に作用すると同時に前庭小脳を介して二重に前庭核に働きかけることになる。筆者らの実験では3,4)一次前庭性インパルスと小脳性遠心性インパルスの作用を,前庭神経核細胞からの細胞内誘導により明らかにし,これに基づいて小脳の果たす役割についての考察を行なつてきた。
ネコはすべてネンブタールで麻酔し,背位に固定して脳底頭骨を開き,延髄腹面から微小電極を挿入して右側の前庭上位核,ダイテルス核,下行核,内側核の細胞に刺し入れた。同側のチンパニック・ブラを開いて蝸牛を除去し前庭神経核を露出し,針電極で刺激した。同側の小脳フロックルス葉には背方より垂直に直径0.5ミリメートルの同軸性刺激電極を刺入した。その尖端の位置は定位固定装置により定めたが,前庭核内で観測される刺激効果を指標にして調節した。また小脳室頂核近傍にも同軸性電極を刺入,固定しておいて小脳深部の刺激を行なつた。
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