特集 平衡機能と姿勢反射
Labyrinth ocular reflex(内耳動眼反射)
鈴木 淳一
1
Jun-Ichi SUZUKI
1
1帝京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
1Department of Otorhinolaryngology, Teikyo University School of Medicine
pp.698-709
発行日 1974年8月10日
Published Date 1974/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903650
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I.はじめに
内耳動眼反射の検査は,Bárány以来,臨床的にも重要な検査として,ごく一般的に行なわれている。回転刺激,温度刺激,電気刺激の3者が主なものであるが,このうち直流を用いた電気刺激は,被刺激部位が必ずしも明らかでないことと,痛み刺激の域値と内耳刺激の域値との差が小さいことなどの理由で,今日では稀にしか行なわれていない。
電気眼振計(electronystagmography,E. N. G.)が臨床に普及したのは10年来のことである。これが内耳動眼反射の検査を質的に飛躍的変化させたことは,周知のごとくである。この進歩の原因は,簡便かつ正確な眼球運動の記録が可能となったこと,閉眼状態,遮眼状態,暗室内での記録が可能となったことの二つが主なものである。たとえば,ENGの出現以前は回転後眼振の観察に止まったのに,ENGによると回転中眼振を記録し,かつ細かく分析することが可能となった。回転中眼振と,回転後眼振とは,生理学的意義が全く異なることからもこの重要性が理解される3)。
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