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Ⅰ.小脳機能の特徴的な性質
前世紀すでに小脳の切除実験に基づきRolandoは小脳が運動に関係していることを見出し,さらにFlourensは小脳がとくに運動の協調に重要な役割を果たしていることを指摘した。その後小脳損傷による運動障害の性質については数多くの考察がなされてきた。もちろん,小脳のどこが傷つけられるかによってその症状はまちまちであるが,小脳損傷に特有の際立った症状がいくつかある。たとえば推尺異常であるが,これは正常な小脳が外部環境に対する身体の相対的な尺度を与えることによって運動制御に寄与していることを物語っている。小脳は指や,腕や,顔その他,体の各部の空間的な位置を時々刻々評価し,これによって各種の随意・不随意運動をうまく遂行させるもののようである。小脳性失調,意図振戦,Stewart-Holmesの現象など,いずれも多かれ少なかれ同様の意味をもっている。Saccadeと呼ばれる,急速に動く物体を追跡する速い眼球運動の障害がおこるのも一種の推尺異常ということができる。この際小脳は動物が動く物体の未来の位置を正確に予測する働きをもっているようにみえる。
Signs of cerebellar lesions suggest that the cerebellum contributes to various motor functions by providing measures of the body in space and time and that this cerebellar function involves something like a learning process. Recent analyses of neuronal circuitry further indicate that the cerebellar cortex resembles the man-made learning machine "Simple Perceptron".
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