特集 北海道開拓保健婦の足跡
住民と共に生き,共に働き……
思い出
老猫
江藤 キミ
pp.38-42
発行日 1982年1月10日
Published Date 1982/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206466
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北国の冬はきびしく非情である。そして,それが2月ともなればいっそう痛く感じられる。
比較的静かに雪の降る日の多い1月の天気が2月になると一変して,横なぐりに吹きつける吹雪となって,ややもすれば家庭訪問に向かおうとする私の心をそぐような毎日が続く。細い雪道があっという間に吹雪で消されたとき,一歩一歩足場を確かめながら進み,ときにはかすかに風をさえぎる物かげで休み,首のあたりに吹き込んだ雪を除き,ガバガバにこおりついたズボンから雪をたたき落としゆっくり歩きはじめる。
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