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はじめに
これまで,筋ジストロフィー症の成因に関して,血管説,神経原説,筋原説,膜説などが提出されてきた1)。中でも,筋膜障害説は,筋緊張性ジストロフィー症(myotonic muscular dystrophy,以下MMDと略す)におけるミオトニア現象やDuchenne型筋ジストロフィー症(Duchenne muscular dystrophy,以下DMDと略す)における血清CPK値の上昇など臨床的な面から強く疑われてきた。なお,MMD例にしばしば認められる白内障,種々の内分泌異常,骨異常,知能の低下,性格の変化は,全身性の膜異常という概念を生んだ。しかし,現在でもなお,筋膜の異常は真に存在するのかという根本的問題は解決されていないし,たとえ存在するとしても,具体的にいかなる異常か,また,それは一次的異常か二次的異常かなども未解決の問題として残されている。CPK上昇の理由にしても,筋変性による単なる二次的膜障害によるのか,それとも,内在する筋膜異常を反映している現象なのかすら明らかではない。江橋2)が指摘しているように,CPKより筋特異性を有するadenylate deaminaseは,何故血中に逸脱しないのであろうか。同様の疑問は,carnitineに関して,Walton3)によっても提出されている。
English abstract
The concept of generalized membrane abnor-malities was proposed in Duchenne muscular dystrophy (DMD) as well as in myotonic muscular dystrophy (MMD) from the studies of phosphory-lation in erythrocyte membranes. Decreased phosphorylation was also observed in muscle membranes of the patients with MMD. The elevated phosphorylation of spectrin in the patients with DMD was confirmed in several other laboratories.
We investigated sodium permeability in vesicles which consisted of lipids extracted from erythro-cyte ghosts and to which spectrin and band 5 proteins were added.
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