特集 神経病理
第20回 日本神経病理学会学術研究会—一般演題抄録・討論
〔A−1〕小脳小多脳回の病理,他
小出 博義
1
,
小川 恵弘
2
,
森松 義雄
2
,
松山 春郎
2
,
森川 征彦
3
,
栗崎 博司
4
,
高津 成美
4
,
井上 聖啓
4
,
岩田 誠
4
,
豊倉 康夫
4
,
原田 健司
5
,
諸岡 啓一
6
,
小笠原 嘉祐
7
,
田中 良憲
7
,
室伏 君士
7
1都神経研神経生理
2都神経研臨床神経病理
3国立小児病院病理
4東大脳研神経内科
5国立療養所下志津病院
6埼玉医大小児科
7国立療養所菊池病院
pp.352-449
発行日 1980年4月10日
Published Date 1980/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905166
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生直後死亡した例から,14歳までの9症例(先天性筋ジストロフィー2例,孔脳症2例,サイトメガロウイルス感染症1例を含む)。全例,大脳の小多脳回を合併していたが,大脳小多脳回は,必ずしも小脳小多脳回を合併しているとは限らなかった(脳梁欠損例など)。小多脳回の小脳での分布は,1例では片側にだけ認めたが,他の8例では,ほとんど対称的であり,うち2例では半球外側に広汎に認め,残り6例では,裂溝に接した部位が,小脳表面に認めた。広汎に認めた2例では,歯状核の小多脳回を合併しており,この2例のほかに先天性筋ジストロフィーの2例では,プルキンエ細胞の遊走障害を思わせるヘテロトピーを認めた。2症例で行なった連続切片での検索により,1切片では島状に見えた顆粒細胞層・分子層も,連続性を保ち,髄膜,分子層,プルキンエ細胞層,顆粒細胞層,白質という位置関係も保たれており,融合したと思われる分子層の中央には,髄膜血管が必ず認められていた。0か月,4か月,10か月の3症例を比較することにより,外顆粒がなくなるにつれて,各小葉間の融合像は強くなっているようであり,分子層の融合は,生後も進行するように思われた。数例に共通して認められた所見としては,2核のプルキンエ細胞,プルキンエ細胞樹状突起の限局性円型腫大像やカクタス像,有髄線維のプルキンエ細胞や分子層へのヘテロトピー像を認めた。
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