Japanese
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I.はじめに
胃腸症状や感冒症状が前駆し,ついで小脳運動失調や外眼筋麻痺などの神経症状が急性に出現,一過性に回復を示すことなどから当初Fisher症候群が疑われたが,その後も同様の症状が数回にわたり再燃と緩解を繰り返し,経過の途中からは性格変化や痴呆,痙攣発作が加わり最終的には失外套症候群の状態に陥り全経過約5年で死亡した1症例について臨床病理学的検討を行なった。臨床診断的には髄液に蛋白細胞解離を認めなかったことと,recurrentな臨床経過から最終的に多発性硬化症が疑われていたが,病理診断学的には同症は否定された。本例の病因論に関しては臨床病理学的検討が多々なされたが,なお結論を得るには至っていない。にもかかわらず,本例はその臨床症状や経過および病理所見が非常に特異であり,他に類似の疾患を求めることは園難であった。したがって病因の本態を追求するには今後本例に類似する疾患の集積と検索がまたれるのである。今回,本例を報告するにあたっては臨床および病理所見をなるべく詳細に記述することを旨とした。また,知識の不足や推論が飛躍しがちなどから十分説得力のある考察ができなかったことを恐れている。ともあれ,本例の病因に関してさらに一層のご意見をいただければ幸甚である。
Abstract
A 32 years old Japanese male developed tem-porally cerebellar ataxia, dysarthria, total oph-thalmoplegia and absent of deep reflexes in the lower extremities etc. following gastrointestinal symptoms including nausea and vomitting. After-wards, similar neurological symptoms emerged acutely and recurrently following gastrointestinal symptoms or influenza-like symptoms such as headache, pharyngeal pain and high fever, which subsided spontaneously often one or 2 weeks usually leaving some ataxia and limitation of ocular movement. Sensory disturbance was not noted.
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