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I.はじめに
マウスには行動異常を発現する突然変異形質が多数発見,固定されかつ維持されているが,これらの形質は概して内耳,眼球あるいは小脳を中心とした中枢神経系の形態的,機能的異常に起因するものが多い73)。いっぽう効果器としての骨格筋に主要な変化が現われる形の行動異常形質はあまり多くは見出されていないが,その一つに本稿の主題である筋萎縮症マウスがある。
離乳前の幼児期(生後2週間)に後肢の痙攣を主徴とする歩行異常が現われ,その後進行性に筋肉の萎縮症状を発現する突然変異形質(dy)の存在が初めて報告されたのは1955年のことである51)。以来20余年,多数の研究者によってその発現症状の詳細が報告され17,25,84),ヒトの進行性筋ジストロフィー症とのさまざまな類似点が指摘されたことから進行性筋ジストロフィー症研究のいわゆる「疾患モデル」として現在最も広く利用されている動物の一つとなっている。当初の研究では,その初期症状が主として骨格筋に強く現われることからprimary myopathyと考えられていたが49,58),その後の研究によって必らずしも類似しない点も見出され,むしろmyotonic dystrophy症により近いモデルと考えられる報告も多くなっている48,56)。
Abstract
The first mutation described as producing a progressive muscular dystrophy in mouse, called dystrophia muscularis which is transmitted an autosomal recessive gene dy on chromosome 10, occurred spontaneously in a colony of inbred strain 129/Re at the Jackson Laboratory in 1951 (Michelson et al., 1955) and a second allele of these mutation, dystrophia muscularis-2J (dy2J) occurred in strain WK/Re in 1969 (Meier et al., 1970). This inherited myopathy in mouse with characteristic muscle weakness, atrophy and reduced lifespan, provides a useful tool for research in the field of neuromuscular disease.
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