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I.はじめに
マウスは実験動物の中でも比較的多数の突然変異形質が固定されかつ維持されている種の一つである23)。その中でも行動異常ないしは神経障害を発現する形質はとくに多く,10余年前に報告されたSidmanらによる集計でも,すでに90種に及ぶ形質の記載が見られる61)。したがって現在では優に100種を越す形質が固定されているものと想像され,まさに神経疾患に対する遺伝性動物モデルの宝庫である。しかし残念ながら,実際にヒトの特定疾患の動物モデルと規定されて利用されているのはこの中のごく限られた形質のみであり今後この分野におけるモデル動物の開発,改良研究がいっそう進展することが望まれる。
ここでは中枢神経組織におけるミエリン鞘形成不全という形質を発現し,諸外国はもちろん,わが国でも,その特徴を生かした動物モデルとして頻繁に研究に利用されているjimpy, myelin synthesis deficiency(msd)およびquakingという3個の突然変異マウスについて述べる。
Abstract
A number of mutations in mice having disorders in the development and function of the nervous system have already been identified (Sidman et al., 1965). Three mutant mice, jimpy (jp) (Phillips, 1954), quaking (qk) (Sidman et al., 1964), and msd (jpmsd) (Meier and Dickie, 1969), all of which have the common feature of a defect of myelination in the central nervous system are described here.
These mutant mice manifest symptoms at the time of myelination around the 10th or 12th day after birth.
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