Japanese
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特集 学習と記憶の神経機構
中枢神経系ニューロン連絡の可塑性の形態学
Morphological aspects of plasticity of neuronal connection in the central nervous system.
水野 昇
1
Noboru MIZUNO
1
1京都大学医学部解剖学第一講座
1Department of Anatomy, Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.958,959-973
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904986
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I.ニューロン連絡の可塑性(plasticity):再構成(reorganization)
中枢神経系機能の形態的基礎はまずニューロン連絡に求められる。一般に形態形成は遺伝的規制を強く受けるが,randomな過程もまた存在するはずである。ニューロン連絡成立にrandomな過程が入り込む程度が大きいとそれだけ中枢神経系機能の後天的展開の"幅"も広くなるであろう。「可塑性」を遺伝的規制からの「自由度」として捉えるとき,中枢神経系の形態的可塑性の中でもとくにニューロン連絡の可塑性の問題は,中枢紳経系機能の後天的展開の可能性に直接かかわる問題として重要である。
哺乳類の中枢神経系は一般に(わずかの例外を除いて)再生しないが,再構成は起こり得るといわれる16,30,31,47,136)。すなわち,二つのニューロン間の連絡が断たれるとそれらは再び"元どおり"連絡することはないが,求心線維を失ったニューロンはしばしば別の健常なニューロンと新たにシナプス連絡を形成する。このような場合,新たな求心線維の供給は,健常なニューロンの軸索が分枝したり(側枝発芽collateral sprouting),軸索終末部が増数(終末発芽terminal sprouting)または変位(shiftingまたはdisplacement)したりすることによって行なわれる。
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