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海馬が記憶に深く関係しているという説は,主に臨床的観察に基づいている。アンモン角を含む脳の両側性破壊は記憶を障害し31),側頭葉の電気刺激は過去の体験をよみがえらせる22)。しかし,このことは必ずしも記憶の座が海馬や側頭葉に存在することを意味しない。Penfield21)は,記憶の座が脳幹に存在するが,その記憶を呼び出すための窓口が側頭葉や海馬にあり,ここで記憶の座へ送り込む暗号を組んだり,送られてきた記憶の内容を解読するという考えに最近傾いている。また海馬の出力路であるfornixが完全に破壊されていても記憶障害がみられない患者の症例も報告されている32)。しかし,この点については最近fornix以外を通って広く大脳皮質や扁桃核に到る経路が知られるようになったので25),海馬に記憶の座を求めることの妨げにならないであろう。ところが動物を使ってヒトの記憶障害によく似た症例を作るのは案外難しいようである。以下,まずこの点について筆をすすめ,次に最近海馬の記憶に関して興味を持たれている長期増強について述べることにするが,その前に,本稿を理解するために必要な範囲に限って海馬の構造を説明する。
Abstract
Experiments exploring relationship between learning and the hippocampus were reviewed. A wide gap between clinical findings and results ofexperiments using rats and mice was discussed. Then, studies on 'long-term potentiation' made in vivo as well as in vitro were summarized. Results of three study groups indicate that asustaining alteration occurs in the synapses which have been activated by tetanic stimulation. Possible mechanisms of the long-term potentiation were discussed.
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