特集 神経学における最近の研究
<生理>
睡眠のpharmacophysiology
大熊 輝雄
1
1東北大学医学部精神医学教室
pp.690-692
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904895
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1.はじめに―REM睡眠とNREM睡眠
ASERINSKY, E. & KLEITMAN1)(1953)によってREM睡眠が発見され,睡眠がREM睡眠とnon-REM(NREM)睡眠という質の異なる2つの睡眠から構成されていることが明らかになって以来,睡眠の研究は画期的な発展をとげた。
REM睡眠が急速眼球運動出現,抗重力筋筋活動の低下,覚醒期に近い脳波像といった特徴をもつだけでなく,脳波像は覚醒に近いのに感覚刺激で覚醒させにくく脳波像と睡眠深度が一致しないこと,夢と密接な関係があること,系統発生的にも個体発生的にも従来知られていたNREM睡眠よりも古い睡眠であることなどの興味深い特性をもつことが明らかになるにつれて,REM睡眠,NREM睡眠の神経機序について多くの研究者の興味が集中した。この研究の初期に,フランスのJOUVET,M.らは,REM睡眠に関与する脳部位を決定するために,ネコについて主として脳幹部の破壊実験を行ない,REM睡眠の中枢が尾側橋網様体Nucleus reticularis pontis caudalis(RPC)付近にあり,従来NREM睡眠の中枢とされてきた視床下部や中脳よりも下位にあることを提唱した2)。
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