Japanese
English
特集 睡眠研究—最近の進歩
睡眠薬研究の最近の動向
Recent Advances in the Study of Hypnotic Drugs
大熊 輝雄
1
Teruo Okuma
1
1東北大学医学部精神医学教室
1Dept. of Psychiatry, Tohoku Univ. School of Medicine
pp.509-516
発行日 1980年5月15日
Published Date 1980/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203097
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
Benzodiazepine系薬物が睡眠薬として使用されるようになって以来,睡眠薬の主座はbarbituratesからbenzodiazepinesに移った観があるが,現在もなお,より良い睡眠薬の開発が必要であることはいうまでもない。
理想的な睡眠薬の充たすべき条件としては,(1)十分な睡眠促進効果をもつこと,(2)できるだけ自然睡眠に近い睡眠を生じ,睡眠にひずみを与えないこと,(3)起床後の日中の精神活動,身体活動に障害を与えないこと,(4)連続使用しても耐性を生じないこと,(5)依存形成性がないこと,(6)毒性が低く過量使用のさいにも安全性が高いこと,(7)なるべく生体内に存在する物質であるかそれに近い物質であることなどが挙げられよう。
このような条件を充たすすぐれた睡眠薬を開発するためには,これらの諸要因を正確に評価,検討するための方法を確立する必要がある。睡眠薬開発のさいの試験法についてはアメリカFDAの指針(「睡眠薬の臨床試験に関するFDA指針」,「薬剤の臨床試験に関するFDAの一般指針」)があるが,これはおよその方針を示したもので,この方面の諸研究の進歩に伴って補充されていくべきものと考えられる。
本稿では,最近の睡眠薬研究の動向のうち,(1)新しい睡眠薬の開発,(2)睡眠薬が昼間の精神機能に及ぼす影響の研究,(3)ポリグラフィによる睡眠薬研究法の進歩などについてその概略を述べることにする。
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.