Japanese
English
特集 睡眠
Symposium・2
睡眠の神経生理
Neurophysiology of sleep
大熊 輝雄
1
,
関口 昌久
2
Teruo Okuma
1
,
Sekiguchi
2
1順天堂大学医学部精神神経科教室神経研究所神経生理研究室
2現在東京大学医学部神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Juntendo University School of Medicine and Laboratory of Neurophysblgy, Neuropsychiatric Research Institute
2Department of Neuropsychiatry, University of Tokyo
pp.807-818
発行日 1962年11月15日
Published Date 1962/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200497
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I.はじめに
近年,脳波像は覚醒時に類似した波形を示しながら,行動的にはかなり深く眠つている時期がヒトおよび動物に存在することがDement and Kleitman(1957)およびDement(1958)らによつて注目されている。
この覚醒時に類似した脳波像を示す睡眠の時期は,かなり以前からヒトの睡眠について記載され,null stage(Blake),early morning sleep(Gibbs)などとよばれてきたが,Dementはこれが動物にも存在することを認めて,それをactivated sleepと名づけ,この時期に急速な眼球運動rapid eye movementsがみられることを報告した。さらにJouvet, Mらは,この時期をphaseparadoxal du sommeilとよび,この睡眠期に姿勢筋の筋緊張消失がおこることを見出した。この特異な睡眠期は,かなり安定して持続し,覚醒閾値が他の睡眠期よりも高いことから,deep sleepとよぶ人(Hubel;Rossi)もある。
著者らは最近,慢性電極を植込んだネコについて,脳波を含むポリグラフィーを行ない,覚醒から睡眠にいたる各時期の皮質および皮質下諸領域の自発電気活動を記録するとともに,中枢および末梢刺激による脳各部位の誘発電位を同時に記録し,いわゆるactivated sleepの時期の神経生理学的機序について多くの興味ある所見をえたので,その概略を報告する。
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