Japanese
English
特集 筋萎縮性側索硬化症—その基礎と臨床
脊髄運動ニューロンの中枢性支配
Central control of spinal motoneurones
田中 勵作
1
Reisaku TANAKA
1
1東京都神経科学総合研究所病態神経生理学部門
1Tokyo Metropolitan Institute for Neurosciences
pp.269-280
発行日 1977年4月10日
Published Date 1977/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904746
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運動の遂行は筋肉の収縮によっておこるが,後者は生理的条件下では運動ニューロンの興奮なしにはおこらない。1個の運動ニューロンに生じたインプルスはその支配下にある一群の筋線維を必ず興奮・収縮させる。このきわめて密接な関係から両者をあわせて"運動単位"motor unitとして取り扱う。また運動ニューロンは運動発現のための"最終共通路"final common pathと定義づけられる(Sherrington1906)。したがって,運動ニューロンへの入力機構を知ることは,運動統御機構の解明のための重要な一環となる。このために古くから,上位中枢の種々の場所に破壊あるいは電気刺激を加え,それらの動物の姿勢・運動・筋電図活動・脊髄反射に及ぼす効果をみるという方法がとられてきた。さらに50年代以降の細胞内電位記録法の導入は,それらのシナプス機序と回路網の検討に大きな助けとなった。最近では,これらの成果から必然的に抽出されてくる運動統御に関する諸原則の妥当性を実際の運動に則して確かめようとする方向も進んでいる。
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