Japanese
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連載講座 新しい観点からみた器官
汗腺―発汗の中枢機序と汗腺の神経支配
Sweat gland-Central mechanism of sweating and peripheral innervation of sweat gland
小坂 光男
1
,
土屋 勝彦
1
,
大渡 伸
1
,
松本 孝朗
2
,
嶋津 宗典
1
Mitsuo Kosaka
1
,
Katsuhiko Tsuchiya
1
,
Nobu Ohwatari
1
,
Takao Matsumoto
2
,
Munenori Shimazu
1
1長崎大学熱帯医学研究所環境医学部門(疾病生態研究分野)
2長崎大学熱帯医学研究所宿主病態解析部門(暑熱順化機構)
pp.371-380
発行日 1994年8月15日
Published Date 1994/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900758
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発汗は大古の昔から人類が身をもって体験し,ヒポクラテスの時代から注目されてきた生体反応の一つであるが,その生理的意義に関する研究知識はごく最近まで皆無であった。系統的に汗の研究が開始されたのは今から約65年前,本邦の久野寧博士ら一門の功績によるところが大であり,その研究データは世界に高く評価されている11)。
しかるに,大戦当時の研究手法や技術面の不備は多大な困難を伴い,久野門下生の研究成果といえども完全でなく,とくに発汗の中枢メカニズム解明に問題を残してきたことは否めない。幸運にも1961年には,久野門下生の中山によって発汗中枢に深い関連をもつ温ニューロンが前部視床下部(PO/AH)において発見され,次いで1980年,交感神経を介する発汗分泌神経末端からニューロ・ペプタイドの一つであるVIPが分泌されるとの研究報告があり,発汗の中枢メカニズムの解明に光明が投じられ,発汗学の第2ルネッサンスの到来と期待をふくらませている昨今である。
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