Japanese
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特集 筋萎縮性側索硬化症—その基礎と臨床
脊髄運動ニューロンに作用する伝達物質
Transmitters acting on spinal motoneurons
大塚 正徳
1
Masanori OTSUKA
1
1東京医科歯科大学医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, Faculty of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.262-268
発行日 1977年4月10日
Published Date 1977/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904745
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中枢神経系のシナプスにおいて伝達物質を同定することは,末梢のシナプスにおけるよりもはるかに困難である。その主な理由はいうまでもなく,中枢神経系の解剖学的複雑性であろう。末梢のシナプスでは,顕微鏡で直接シナプス部位を観察しながら,伝達物質や関連物質をシナプス下膜に適用し,その効果を細胞内記録することが可能であるが1,2),中枢のシナプスで同じような実験を行なうことは今のところ困難ないし不可能である。
脊髄運動ニューロン上のシナプスは中枢の中では比較的研究しやすい場所であって,ここで記録されるシナプス活動については最も理解が進んでいるということができる。しかし伝達物質の解明はそれほど進んでいないのである。以下,脊髄運動ニューロンに作用する興奮性,および抑制性伝達物質の同定がどこまで進んでいるか,グリシン,substance P,グルタミン酸を中心に述べることにする。
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