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特集 日米合同セミナー—学習と行動の神経生理学的基礎
視覚性奪感覚の効果—外側膝状体刺激による条件反応をもとにして
Effects of visual Deafferentation: Studies on Conditioned Responses to electrical Stimulation of the lateral Geniculate Body in Dogs
岩間 吉也
1
,
清野 茂博
1
,
福田 淳
1
Kitsuya Iwama
1
,
Sigehiro Kiyono
1
,
Yutaka Fukuda
1
1大阪大学医学部高次神経研究施設
1Institute of Higher Nervous Activity, Osaka University Medical school
pp.65-69
発行日 1971年6月30日
Published Date 1971/6/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904690
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はじめに
1959年に,ArduiniとHirao1)は橋中部三叉神経前標本をもちいて,網膜起源の自発放電がもつ意義について,重要な記載をした。もともと,この標本は脳波が常時脱同期様相をみせる標本であるが,その状態で眼内圧をあげて網膜から自発放電が起こらないようにすると,脳波の脱同期様相が同期様相にかわつてしまう,というのが彼等の記載である。これに加えて,外側膝状体(LGB)の単発刺激による視覚領皮質の誘発電位をみると,網膜自発放電の遮断とともにその振幅が大きくなるという事実もあわせて報告されている。慢性電極を植えこんだ猫について観察したKasamatsuらの報告3)によれば,網膜自発放電の遮断―この場合は両眼剔出による―を行なうと,慢性標本においても視覚領誘発電位の増強がみられる。背景脳波については,特に徐波の増強はないが,視覚領には6〜13/秒の徐波が小振幅であらわれる,というのが眼摘出の効果である。こうしてみると,慢性標本においても網膜起源の自発放電が視覚領に達しないようにしてやると,視覚領自身の機能にある変化がおこるらしい,と想像されるのである。
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