Japanese
English
特集 日米合同セミナー—学習と行動の神経生理学的基礎
味覚と食行動
A Role of Taste in Feeding Behavior
河村 洋二郎
1
,
船越 正也
1
,
笠原 泰夫
1
,
早矢仕 彩子
1
Yojiro Kawamura
1
,
Masaya Funakoshi
1
,
Yasuo Kasahara
1
,
Saiko Hayashi
1
1大阪大学歯学部口腔生理学教室
1Department of Oral-Physiology, Dental Shool, Osaka University
pp.51-64
発行日 1971年6月30日
Published Date 1971/6/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904689
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はしがき
動物が食物を食べたり食べるのをやめたりする行動は,空腹感や満腹感,あるいは体液中の栄養素の量,体内恒常性など比較的長い時間経過で生体に生じてくる現象と結びつけて考えられてきた。しかし,動物が食べたり食べるのをやめたりする行動は,このような体内因子が刺激となつて食行動の動因が誘起されるだけではなく,食べたり飲んだりする物質の性状によつても強く支配されている。特に好きな味のものを許容し,嫌いな味のものは嫌って食べない。この味覚による食物選択行動の脳機序の詳細は今日なお充分明らかにされたわけでなく,不明の点が多い。
味や匂いによる食物選択が,これら刺激によつて二次的に生じる体液性の変化が原因とは考えられない。味についていえば,食物を口に入れて味わうことにより,直ちに食べるべきか吐き出すべきかの反応が起こるのであるから,少なくとも口腔よりの感覚信号が直接摂取行動を誘発させたり拒否行動を誘発させていると考えなければならない。
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