コーヒーブレイク
味覚
S. T.
pp.651
発行日 1981年8月1日
Published Date 1981/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205366
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人間の味覚は幼児にして,すでに出来上がってしまう,と言われている.母親が作ってくれた料理の味に,味覚は慣れてしまうものだと言う."関西の薄味"と"東北の辛味"はよく知られたことで,関西育ちの人は,東京のしょう油味のうどんは辛くてまずいと言い,関東以北の人は,関西風のうどんは,味が薄くて物足りないと言う.塩のサジ加減が料理をおいしくもし,まずくもする.
たしかに,幼いころに慣れ親しんだ味は,何十年経っても忘れられない.しかし,そうは言っても,人間の味覚というものは不思議なもので,絶えず記憶されているものでもなさそうだ.忘れていた味が何かのきっかけで突然甦ってくることがある.
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