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I.はじめに
味覚の神経生理学的研究は主に末端受容器での味物質受容機溝や味覚神経レベルでの味覚情報伝達機構に関するものが多く,この分野では数多くの研究成果が得られてきた。しかし,味覚の中枢神経機構に関する研究は比較的立ち遅れているのが現状である。最近の味覚の中枢神経機序に関する研究のトピックの一つは橋部に味覚中継核の存在することが発見されたことである。従来,味覚の伝導路としては,味覚神経→延髄孤束核→視床味覚野→大脳皮質味覚領といった経路が広く認められてきたが,孤束核よりの線維は視床に到る前に橋の結合腕周囲の細胞集団にてシナプスを介することが見出され,この部分は橋味覚野(pontine taste area:PTA)と名づけられた(図1)。PTAは最初ラット13)とネコ4)に見出され,その後ウサギにもその存在が確認された(山本ら:未発表)。他の動物においても味覚伝導路が再確認されつつあり,ネコ,サル,ヒトなどでは,味覚神経→孤束核→PTAの経路とともに味覚神経が直接PTAに投射する可能性がある4,14)。
さて,本論文ではまず比較的研究の進んでいる動物の味覚神経刺激による脳誘発電位についてその基礎的な研究成果を概説し,ついで,ヒトについての研究成果とその臨床応用への問題点について解説したい。
Abstract
1) The cortical taste area has been delineated in different animals by means of evoked potential method and/or behavioral method. In squirrel monkey and cat, evoked potentials are generally recorded from two spatially different areas in the brain cortex by electrical stimulation of the taste nerve; one is within or near the somatic sensory area I and the other is ventro-caudal to the area I. The latter has been supposed to be a pure cortical taste receptive area.
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