Japanese
English
特集 睡眠と意識障害
パラ睡眠の神経生理
Neurophysiology of Para-Sleep
時実 利彦
1
Toshihiko Tokizane
1
1京都大学霊長類研究所
1Primate Research Institute, Kyoto University
pp.653-665
発行日 1971年4月30日
Published Date 1971/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904667
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Ⅰ.パラ睡眠とオーソ睡眠
パラ睡眠(para-sleep,PS)ということばは,オーソ睡眠(ortho-sleep,OS)に対して私たちの研究室で作つたものである。現在,ヒトやいろいろな動物の睡眠に,2つの型のあることはよく知られており,その命名が研究者によつて次の表1のように違つている。最近,アメリカの臨床医学で,パラ唾眠をREM睡眠とよび,オーソ睡眠をNREM睡眠とよんでいるので,世界的にこの命名がかなり広く使われている。ちなみに,REMとは,パラ睡眠のときにおこる急速眼球運動(Rapid Eye Movement)の略であり,NREMとはnon-REMの略である。
パラ睡眠が,ヒトや動物の睡眠中におこることは,かなり以前から断片的に観察,報告されているが,体系的な研究が進められるようになつたのは,N. KleitmannやW. DementやM. Jouvetなどの功蹟によるものである。特に,パラ睡眠が夢と関係の深いことがわかつて以来,精神医学や心理学の分野でも多大の関心がもたれるようになり,さらに,パラ睡眠の発現機序の研究が契機になつて,脳機能の神経化学的研究が非常に盛んになつてきた。パラ睡眠をめぐる報告や論文は,莫大な数に達しているが,まだパラ睡眠の本能とその発現機序は解明されていないといえよう。
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