特集 神経学における最近の研究
<解剖>
パラニューロン
藤田 恒夫
1
1新潟大学医学部解剖学教室
pp.646-647
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904877
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1.ニューロンの特異性はあるか
神経系の主要構成員である神経細胞またはニューロンは,ほかの細胞とは画然と区別されるべき,特別の機能をもった高度に分化した細胞と考えられてきた。それは神経原線維の存在によって鍍銀され,ニッスル小体という特別の細胞内構造をもち,神経伝達物質を産生し,電気生理学的には活動電位の発生と伝播によって興奮伝導を行なう。そしてニューロンは神経外胚葉から発生し,生後は増殖も再生もしえないとされている。
しかしニューロンとそのほかの細胞の境界は,一般に信じられていたように明確なものではない。神経系と内分泌系とは,次の二点で移行的であることが古くから明らかであった。第一点は副腎髄質細胞がノルアドレナリンとアドレナリンという神経伝達物質を産生し,これをホルモンとして放出しており,しかもこの細胞が交感神経ニューロンと同じ神経稜由来であるという事実。そしてもう一点は神経分泌細胞がペプチドホルモンを産生して血中に放出し,その分泌顆粒も一般の内分泌細胞と本質的に異なるところがないという事実である。
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