Japanese
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特集 てんかん
てんかんの薬剤
Pharmacotherapy of Epilepsy
田縁 修治
1
,
鈴木 聖洪
1
S. Taen
1
,
M. Suzuki
1
1関東逓信病院精神科
1Dept. of Psychiatry, Kanto-Teishin Hospital
pp.751-768
発行日 1968年10月25日
Published Date 1968/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904542
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I.まえがき
てんかんは慢性に経過する難治の疾患であるため,古くからその治療に対してありとあらゆる試みがなされてきた。すてにHippocratcsらもすぐれた記載を残しいるが,その後中世末期まではほとんど迷信的な治療が支配していた。たとえば寄生木はただ解の木に固着して落ちないという理由から,Fallsucht(falling sickness)と呼ばれたてんかんに,なんらの科学的根拠もなく漫然と使われていた。ヒトの生血やサルの脳が効くといつた荒唐無稽な観念も洋の東西を問わず存在したらしい。そのほか種々な草根木皮の類や,亜鉛,鉄,銀,ヨード,吉草,規那,ジギタリス,硝石,肝油,ベラドンナ,阿片,樟脳などの薬剤が試みられたが,いずれもてんかんに効を奏したものはなかつた。
このように,長い間強力な抗てんかん剤は見出されなかつたが,臭素剤,硼素剤についで1912年Phenobarbitalが,さらに1938年Diphenylhydantoinが発見されてようやくてんかん発作の薬剤による抑制が可能となり,一方では抗てんかん剤の化学構造と薬理作用との相関も明らかになつてきた。その後薬剤合成技術の進歩やスクリーニング法の確立につれて,相ついで強力な新しい抗てんかん剤が発見された。
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