Japanese
English
特集 精神薄弱
先天異常の原因としての胎内ウイルス感染
Intrauterine viral infection as cause of congenital anomalies
松山 春郎
1,2
Haruo Matsuyama
1,2
1脳性麻痺研究所
2慶応大学医学部経理学教室
1The Research Institute on Cerebral Palsy, the Kakuhukai Social Welfare Co-operation
2Department of Pathology, Keio University School of Medicine
pp.213-221
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904497
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I.まえがき
成熟細胞と未熟な発育途上の細胞との形態機能上の差は,当然のことながら傷害因子に対する感受性や反応性の差としてあらわれてくる。このことが脳性麻痺や精神薄弱のあるものの病因として最も本質的のものと思われる1,2),特に中枢神経のごとく高度に分化したものでは,この差がいちじるしいし,分化しきるまでに時を要するからである。
この感受性の差は,ウイルス感染やX線照射,無酸素主,中毒などおいて明らかであるが,妊婦にこれらが作用した場合,胎児への影響如何によつては,先天異常の原因となりうるのである。これらの原因を後から推定することははなはだ困難であるが,特にウイルス感染の場合では,母親の感染がほとんど気づかれずに済んでしまうことと,一方胎児には強い影響を及ぼしながら,しばしば炎症性反応を欠き,瘢痕組織を残さないために,病理学的にも他の原因の先天異常と鑑別しえないのである。最近のウイルス学の進歩と胚胎児症への関心のたかまりによつても,まだまだ問題の解決には程遠い現状である。
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