今月の臨床 多胎—いま何が問題か
妊娠合併症の対策
13.TTTSの胎内治療
田中 守
1
,
名取 道也
2
,
野澤 志朗
2
1浦和市立病院産婦人科
2慶應大学医学部産婦人科
pp.1478-1479
発行日 1994年12月10日
Published Date 1994/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901986
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双胎間輸血症候群(以下TTTS)は一卵性一絨毛膜性双胎の重篤な合併症として知られている.一絨毛膜性双胎においては,ほとんどすべての胎盤に血管吻合が認められるとされているが,実際にTTTSを発症するものは全双胎妊娠の10%前後とされている.典型例においては,供血児では貧血,IUGR,尿量減少に伴う羊水過少(“stucktwin”:供血児が羊膜によって子宮壁に固定されたもの)などの症状が認められ,受血児では多血体重増加,尿量増加に伴う羊水過多が認められ,両児とも胎児水腫,胎児死亡に至る危険性がある.
臨床上問題になってくるTTTS症例は母体外での生活が困難な妊娠中期に発症するもので,羊水過多に伴う前期破水,早産によりTTTS罹患児の周産期死亡率がきわめて高いものとなっている.そこで慶應大学病院で施行したYAGレーザーを用いた胎盤血管凝固術を中心にTTTSの胎内治療について述べてみたい.
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