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特集 第8回神経化学懇話会
一般演題および討論
幼若ラツテ脳単離核における蛋白合成
Protein Synthesis in Isolated Nuclei frem Young Rat Brain
間瀬 桂吉
1
Keikichi Mase
1
1新潟大学医学部脳研神経化学
1Brain Research Insitute, Niigata University, School of Medicine
pp.198-203
発行日 1966年7月15日
Published Date 1966/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904281
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I.緒言
脳の発育の段階については4つの段階に分けて考察がなされている1)−3)。すなわち神経細胞の分裂期である第1期,細胞が成長し,axonやdendriteが発達し,ニッスル小体が現われ,さらに種々の酸素活性の増大を示す第2期,ミエリンシースの形成盛んとなる第3期,そしてその後の発育の第4期である。このうち分裂期はもちろんのこと,第2期の細胞の成長発育はとりもなおさず蛋白合成であろうし,それにあずかるリボソームの合成は今日核の独占的な仕事であると考えられているので,発育段階の第1,第2期において細胞核のはたしている役割はきわめて重要なものであるにちがいない。またこれに続く第3,第4期には核はどのような状態にあるのか,脳発育の過程を核の状態・はたらきの面からみていくことは興味深いと考える。
実際には脳細胞から核を調製するには他の臓器以上にやつかいな問題を伴う。多量にあつてしかも混入しやすいミエリン分画やその件の分画による汚染があつてはいけないことはもちろんだが,純粋に核分画が得られたとしてもnativeな形で代謝的にも活性でなければならない。種々試みた結果,若い動物(発育の第2期に相当するラッテ生後4〜10日)であれば,一応満足のいく核分画を比較的容易に得ることができたので,とりあえずそれについて単離核における蛋白合成を検討してみた。
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