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実験講座
真性粘菌ミトコンドリア核の単離とその特性
Isolation and characterization of mitochondrial nuclei in Physarum polycephalum
鈴木 孝仁
1
,
黒岩 常祥
2
Takahito Suzuki
1
,
Tsuneyoshi Kuroiwa
2
1名古屋大学医学部医真菌研究施設
2基礎生物学研究所
pp.270-276
発行日 1981年6月15日
Published Date 1981/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903472
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細胞内小器官であるミトコンドリアは,葉緑体と共に,DNAを含有し,細胞核の遺伝情報にかなりの部分を依存しつつも,半自律的にRNA,タンパク質の生合成を行っている1)。一方,そのDNAのミトコンドリアでの存在様式に関しては,Nassらがニワトリ胎肝細胞ミトコンドリアなどを用い,電顕超薄切片像を観察して提出されたモデルがよく知られている2,3)。すなわちミトコンドリアDNAは,あたかも裸に近い状態でミトコンドリアマトリクスに存在するというモデルである。
しかるに黒岩らは,真正粘菌Physarum polycephalumのミトコンドリアにおいて,その中心に電子密度の高い1個の核様構造があり,その核は32〜64本のミトコンドリアDNAがタンパク質やRNAと共に複合体を形成したものであることを明らかにした4〜6)。さらに他の生物のミトコンドリアや葉緑体でも,多かれ少なかれ,細胞小器官DNAはタンパク質分子によって組織化され,核構造をとっていると主張してきた7)。黒岩によれば,これら細胞小器官の核様体は,その電子密度の相違や形態的特徴から,陰性核様体(negative nucleoid,electron transparent nucleoid)と陽性核様体(positive nucleoid,electron dense nucleoid)の2種に分類される5)。
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