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特集 第8回神経化学懇話会
一般演題および討論
脳の細胞核の分離とDNAの抽出
Properties of DNA Isolated from Guinea Pig Brain
森 浩一
1
,
川北 幸男
1
Koichi Mori
1
,
Yukio Kawakita
1
1大阪市立大学医学部神経科
1Neuropychiatric Dept.of Osaka City Univ.
pp.204-209
発行日 1966年7月15日
Published Date 1966/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904282
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I.緒言
中枢神経系におけるノイロンとグリア細胞の相互関係は,きわめて興味深い問題である。これら2種類の細胞をわかついちじるしい特色は,ノイロンは個体発生の過程でひとたび分化してしまうと,もはや細胞分裂を起こさないことである。一般に細胞では,その分裂に先行してDNAの合成が行なわれることが知られており,したがつて,成熟した脳のノイロンとグリア細胞では,DNAの合成に差異があるものと老えられる。このことは,H3-thymidineのDNAへの取り込みを,autoradiographyで追究した実験によつても裏付けされている。
この研究は,上に述べたノイロンとグリア細胞の性質の特異的な差異を検討する第一歩として,モルモットの脳からDNAの抽出を試み,その化学的・物理的性質を検討したものである。この研究の途上,脳ホモジネートから直接,高分子DNAを抽出することはきわめて困難であり,まず核分画を分離することが必要であることが示されたので,得られた核分画についての形態学的検討をもやや詳細に記載することにした,なおこれまでに,脳から高分子DNAを抽出し,その性質を検討した報告はみられない。
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