Japanese
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特集 脳のシンポジウム
主題—情動と自律神経・内分泌機能
情動行動と脳障害—視床下部を中心として
Emotional Behavior and Brain Lesion: from an Aspect of Hypothalamic Function
中尾 弘之
1
Hiroyuki Nakao
1
1九州大学医学部精神科
1Department of Neuropsychiatry, Faculty of Medicine, Kyushu University
pp.149-156
発行日 1970年4月25日
Published Date 1970/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903118
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I.情動の中枢
私は,ネコ脳の電気刺激の実験結果から,情動の中枢は脳幹にあるという立場をとり,その中枢を脳幹情動系と呼んでいる3)。しかしながら,脳幹以外の部位,たとえば大脳辺縁系に属する扁桃核の電気刺激によつて,いろいろの情動の変化がおこされることは,人間についてよく知られていることである。このことから,扁桃核も情動の中枢に含めてよいかもしれない。事実,Fernandezde MolinaとHunsperger1)は,ネコ脳の電気刺激の実験結果から,情動を統制する部位は扁桃核から中隔,視床下部を経て,中脳中心灰白質に至る一連の構造であるという考えをもつている。
私が,彼らと同じく,ネコ脳の電気刺激の実験結果に基づきながら,中枢について彼らとは違う意見を持つているのは,中枢の定義の差異によるのである。
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