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特集 第5回神経化学懇話会
シンポジウム・1
内因性精神病と精神薄弱の代謝異常
2.分裂病患者の体液と解糖抑制との関連についての検討
Problems on the body fluid of schizophrenics and its' inhibitory action upon glycolysis in the brain
伊藤 斉
1
,
森 文彦
1
,
開沢 茂雄
1
,
三浦 貞則
1
Hitoshi Ito
1
1慶応義塾大学医学部神経科学数室
1Dept. of Neuropsychiatry, School of Medicine, Keio University
pp.701-705
発行日 1963年8月25日
Published Date 1963/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904049
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はしがき
分裂病の生化学研究のモデルとして慢性Methamphetamine投与動物についての研究は10年来,台,江副氏ら,松沢病院ならびに群大神経科の研究ゲループにより発見され繰返し実証されていることであり1)〜7),Methamphetamineを長期投与された天竺鼠あるいは海猽に,行動面では減動無欲状態が持続的に惹起され一方代謝面ではこれらの動物の脳皮質切片およびホモジエネートにおいて解糖の抑制がみられるという事実であるが,演者ら8)も昨年の本会において報告したように,追試の結果でも慢性覚せい剤投与動物脳切片の酸素消費量減少せず,乳酸生成量の著減を示していることを確認し,さらに慢性Methamphetamine投与動物において同時にChlorpromazine又はTetrabenazineを持続投与した場合解糖の抑制は相殺されるかの如き結果を得た。
この実験はその後も継続しているが,前回の報告にもふれてあるが,台,小林氏6)の実験により,中毒群の動物においては脳における解糖抑制のみならず,その血清中にも解糖抑制因子が存在するという説が出ており,我々の実験でも透析した中毒群の動物の血清を,正常海猽脳切片をグルコース加Krebs-Ringer液に浮游せしめてWarburg検圧計内で酸素消費量および乳酸生成量を測定する際にこの中に加えることにより,やはり若干乳酸生成量の減少がみられるという現象をみとめた。
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