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特集 第4回神経化学懇話会
脳の機能と代謝
実験的Methamphetamine慢性投与動物にみられる解糖抑制現象と精神親和剤の及ぼす影響について
Inhibition of Acrobic Glycolysis in Animals Chronically Intoxicated with Methamphetamine,and thc Effect of Tranquilising Agents on it
伊藤 斉
1
,
三浦 勇夫
1
,
石原 幸夫
1
,
森 文彦
1
,
開沢 茂雄
1
,
舛沢 郁二
1
,
里和 宏
1
H. Ito
1
,
I. Miura
1
,
Y. Ishiwara
1
,
F. Mori
1
,
S. Kaizawa
1
,
I. Lmasuzawa
1
,
H. Satowa
1
1慶応義塾大学医学部神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Keio Univ.School of Medicine
pp.660-667
発行日 1962年9月25日
Published Date 1962/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904001
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慢性覚せい剤中毒動物の脳組織代謝における特異な変化については10年来台,江副氏等1)〜7)9),松沢病院並びに群大神経科の研究グループにより発見され,繰返し実証されていることであり,実験動物(天竺鼠及び海猽)にMethamphetamineを長期投与した場合,行動面において減動無欲状態が持続的に惹起されると同時に,この動物を断頭し,作製した脳皮質切片及びホモジェネートにおける呼吸及び解糖を測定すると対照動物に比し,酸素消費量に差がないに拘らず乳酸生成量(好気的解糖)が低値を示し,解糖抑制型の特異な現象が認められ,丁度同様の現象を嘗て同氏等が分裂病者脳組織の糖質代謝について研究し得た結果と類似していることより,実験的慢性覚ぜい剤中毒海猽悩を神経化学的に見ると分裂病脳のモデルとして代用出来るのではないかということより多大の関心を惹くに至つている。
このMethamphetamineの慢性中毒が一次的に脳組織代謝に変化をもたらすのか,或いは二次的に見られる現象か,又精神症状との関連について考察をする積りは目下の処ないが,この現象は非常に面白い,かつ重要な所見と,著者等はかねがね考えて居り,更に多数の研究者によつて検討きれてよいことと思つて居た矢先,以下述べる若干の関連性ある実験について,先覚者の一人,台教授よりも種々御助言を頂いたので,未だ満足すべき域に達してないが,一端を御報告する次第である。
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