Japanese
English
特集 第4回神経化学懇話会
神経疾患の生化学
てんかんの間脳機能—インシュリン反応試験を中心に
Clinical Findings of Fioncephalo-pituitary Adrenocortical Systems in the Epileptics due to Insulin Response Test
田中 善立
1
,
桜田 敞
1
,
古郡 恒宣
1
,
佐々木 仁
1
Zenryu Tanaka
1
,
Sho Sakurada
1
,
Tsunenohu Furukori
1
,
Jin Sasaki
1
1弘前大学医学部精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Hirosaki University School of Medicine
pp.576-581
発行日 1962年9月25日
Published Date 1962/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903987
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
各種の精神々経疾患者を対照に,てんかんの内分泌・代謝機能研究の一環として,インシュリン反応試験を採用し,間脳を中心にした下垂体副腎系の検索を試み,その成績に若干の考察を加えたが,要約するとおよそ次の通りである。
(1)「イ」・反応試験の成績では,てんかん群は非定型精神病,脳神経疾患群と並んで,かなり高率に異常反応を呈するものがみられる。すなわち,「イ」・血糖反応試験では異常曲線を示すものが79%で,そのうち,「イ」抵抗性・不耐性を示すものがそれぞれ46%:33%であつた。前者は脳下垂体前葉系の機能亢進が,後者はその機能低下が想定される。
(2)「イ」・好酸球減少反応をみると,滅少の遅延化つまり疑問・不全反応(不変・増加)を呈するものが多い(60%)。
(3)これら所見の異常性の内容をみると,臨床発作型により,かなり特徴的な傾向が見出される。何れにしても,てんかん者においては,潜在的に間脳下垂体副腎系に欠陥をもつているものが多いという傾向がみられ,最近の人脳視床に関する電気生理学的知見と相符合する点が多く,てんかん発作の発現機序を考える上に,興味深いものを含んでいるように思われる。
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.