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特集 第4回神経化学懇話会
神経疾患の生化学
周期性四肢麻痺のPathogenesisと甲状腺の役割
Studies on the Pathogenesis of Familial Periodic Paralysis, with Special Reference to the Thy-roid Function
里吉 営二郎
1
,
村上 慶郎
1
,
古和 幸久
1
,
木下 真男
1
,
佐伯 誠也
1
,
青木 郁子
1
,
小松 文子
1
,
阿部 ケイ子
1
,
鳥居 順三
1
Eijiro Satoyoshi
1
,
Keiro Murakami
1
,
Ilisayuki Kowa
1
,
Masao Kinoshita
1
,
Seiya Saeki
1
,
Ikuko Aoki
1
,
Fumiko Komatsu
1
,
Keiko Abe
1
,
Junzo Trii
1
1東邦大学医学部阿部内科
1Dept. of Internal Medicine, Toho Univ. School of Medicine
pp.570-575
発行日 1962年9月25日
Published Date 1962/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903986
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緒言
周期性四肢麻痺と甲状腺機能亢進症との合併は1902年Rosenfeed1)の報告以来,内外に多くの報告2)〜15)がみられるが,両者の関係はまだ明かにされていない。従来の多くの報告によると周期性四肢麻痺が甲状腺中毒症の治療により治癒しているが,Dunlap16),隈7)らは逆に治療により四肢麻痺発作の頻発を認めている。即ち甲状腺hormoneは四肢麻痺を発現させる方向に作用する場合と,治癒させる方向に作用する場合のあることが認められている。篠崎2),Robertson17)らは甲状腺末や甲状腺剤投与が麻痺発作を誘発したと報告しているが,一方Engelら18)は両者の合併は偶発的なものであるとしている。Engelの報告では甲状腺剤を与えても麻痺発作が誘発されなかつた,しかし逆に投与中止によつて発作をみているのでやはり両疾患の間の発生病理には深い関係が存在するものと考えるべぎであろう。
周期性四肢麻痺の発生にK代謝が関係していることはSinger19),Holzapple20),Biemond21),Aitkins22),Allot23)らによつて報告され,麻痺時に血清中のKの細胞内へ移行することが明かにされている(Danowski24))。らまたGrobら25)は血清のK低下と細胞内のK増加による細胞内外のK濃度比の上昇が麻痺の原因であると述べている。
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