Japanese
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特集 第4回神経化学懇話会
神経疾患の生化学
LSD実験精神病に関する二,三の知見
Some Psycho-biological Aspects of the LSD-Experimental Psychosis
鳩谷 龍
1
,
加藤 清
1
,
由良 了三
1
,
石田 千鶴子
1
,
前田 正典
1
N. Hatotani
1
,
K. Kato
1
,
R. Yura
1
,
K. Ishida
1
,
M. Maeda
1
1京大精神科
1Dept. of Psychiatry, Kyoto Univ. School of Medicine
pp.582-588
発行日 1962年9月25日
Published Date 1962/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903988
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精神疾患者のLSD抵抗性について
われわれは前報に於て尿中Adrenaline排泄量9)12),及び尿中17KS分画像5)6)を指標としてLSDにより惹起される実験的精神病の身体的側面を観察した。すなわち,LSD実験精神病に際し,極めて規則的に尿中Adrenalineが増加し,しかも,同一症例に対し頻回にLSDを服用せしめた場合,その増量は惹起される精神反応及び植物神経反応の程度とよく平行するため,Adrenaline量はLSD酩酊度の優秀な客観的指標となることを述べた。一方LSD服用により,17KS分画像に於ては,Androsterone(第IV分画)とEtiocholaneolone(第V分画)の比,(Amdrogen Index:A.I.と仮称)の低下が特徴的に認められることを報告した。
更に,精神分裂病や神経症を問わず,LSDに抵抗を示し,第1図および第2図に一括して示した中の数例に見られる如く,AdrenalineやAndrogen Indexに著明な変化の起らない所謂LSD抵抗性の症例があることを指摘し,これは二,三の研究者が考えているような精神分裂病の疾病過程に基因するものではなく,むしろLSD服用時の視床下部の反応性に問題があるのではないかと推論した。
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