Japanese
English
特集 脳血管性障害・I
実験的脳血管障害
Experimental Study of Cerebrovascular Disease
長谷川 恒雄
1
Tsuneo Hasegawa
1
1慶応大学医学部相沢内科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.333-344
発行日 1961年5月25日
Published Date 1961/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903918
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.緒言
近年,老人病による死亡率の著しい増加はわが国のみならず,世界共通の現象であり,就中,脳血管障害を中心とする諸疾患は,注目さるべき位置を占めて来た。わが国に於ける本疾患は,1951年以来死亡率の首位を占め,而も昭和34年度全国疾患別死亡統計によれば,その20%以上を示している。脳血管障害はこの意味に於て,又現在適確な治療及び予防の方法が見出されていないこと,並びにその発生機序に就いても未解決の点が数多く残されていること等を含め,積極的に研究を進めねばならぬ疾患である。この疾患の研究を推進するに当つて,従来の病理学を中心とした立場と,臨床面を中心とした立場よりの研究面に,最近,動物実験を中心とした立場が加わりつつある。即ち,人を対照とした病理学及び臨床面の研究には自ら限度があり,例えば,発生機序に対する一連の追求とか,本疾患に直接間接対応して作用する薬剤の検討とか,或いは発生阻止に対する困子の発見等,病巣の変化を通じて直接詳細な観察が行い得ない領域がある。
この領域の開拓に対し,比較的近年,主として発生機序の追求を目的として実験的脳血管障害の研究がなされて来た。
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.