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特集 脳のシンポジウム
主題—前庭神経・前庭神経核の組織と機能
前庭-外眼筋反射弓のニューロン機構
Neuronal Organization of the Vestibulo-ocular Reflex Arc
R.G.Baker
1
,
真野 範一
1
,
島津 浩
1
N. Mano
1
,
H. Shimazu
1
1東京大学医学部脳研究所神経生理部門
1Dept. of Neurophysiology, Institute of Brain Research, School of Medicine, Univ. of Tokyo
pp.102-106
発行日 1970年4月25日
Published Date 1970/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903108
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I.緒言
前庭神経系は限球運動の発現あるいはその調節,躯幹や四肢の筋緊張の維持,自律神経系の調節など広汎な機能に関係する重要な役割を果たしている。ここでは前庭受容器から前庭神経を経て脳に送られる信号が,どのようなニューロン機構で最終出力である外眼筋の運動神経細胞に伝えられるかについて述べたい。
前庭神経から外眼筋に到る反射弓は,機能的には頭位の変化に際して一点を注視するための眼球運動の調節に役立つている。たとえば,頭部を水平に廻わすと廻転方向の水平半規管が刺激され,その結果反対側の外直筋および同側の内直筋が収縮して眼球が反対側に廻転する。この反射弓の最も短い径路は哺乳類では3個のニューロン,すなわち前庭神経1次線維,前庭神経核細胞から出て内側縦束を通る2次線維,および外眼筋を支配する運動神経細胞からなりたつていることはSzentagothai1)らの研究によつて古くから知られていた。また眼球が頭位の水平廻転方向と逆向きに廻転する時,同側の外直筋および反対側の内直筋は弛緩するが1),この抑制性反射弓のニューロン機構については精しい解析はなされていない。
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