今月の主題 神経内科の動き
見逃しやすい神経病
多発性硬化症
荒木 淑郎
1
1川崎医大第2内科
pp.1394-1395
発行日 1974年11月10日
Published Date 1974/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205646
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多発性硬化症の概念
多発性硬化症(multiple sclerosis;以下MSと略す)とは,中枢神経系の白質の髄鞘が散在性に侵され,多巣性の脱髄斑を呈する原因不明の疾患である.中枢神経系の病変は,空間的かつ時間的に多巣性であり,ゆえに臨床症候は多彩で,経過においては再発と緩解を示すことを特徴とする手MSは15歳から50歳の年齢層に好発し,10歳未満の小児には稀である.MSは欧米においては比較的に多く散見されるが,わが国では頻度は極めて低く,罹病率は人口10万に対し2〜4である.
MSは脱髄性疾患(demyelinating disease)という名称の下に分類され,その中で最も代表的なものである.Devic病(neuromyelitis optica)とは,両側の急性球後視神経炎と急性横断性脊髄炎の合併をいう.Schilder病は,通常小児にみられる大脳白質のびまん性炎症性脱髄性疾患で進行性である.急性散在性脳脊髄炎は,感染性とワクチン注射後におこることが知られている.特発性のこともある.
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